Project $1M™ ・ Journal 01

貯金は増えた。それでも、家は遠ざかっていった。

家を買うために、何年もお金を貯めてきました。でも貯めている間に、同じ条件の家の価格も上がっていきました。貯金は増えている。家は遠ざかっていく。その数字を並べた記録です。

アメリカに来てから、ずっと欲しかったものがあります。

マイホーム。

豪邸ではありません。子どもたちがそれぞれ自分の部屋を持てる。裏庭がある。静かで、安全。学校の環境がいい。子どもが居る家庭で望む家です。

そのために、何年もお金を貯めてきました。

数字が増えることが、うれしかった

貯めていた時期は、口座の残高を見るのが楽しみでした。グラフが少しずつ右肩上がりになっていく。見るたびに思っていました。

マイホームに近づいている。

数字が増えていくことが、そのまま夢に近づいている証拠のように見えていました。

実際、よく頑張ったと思います。貯金額そのものは、始めた頃とは比べものにならないところまで増えました。このままいけば家が買える。本気でそう思っていました。

ゴールも、動いていた

ところが、貯めている間にアメリカの住宅価格は異常に上がっていきました。

私が見ていた家は、エリアがまあまあ良く、以前ならおよそ80万ドルくらいの価格帯でした。本格的に探し始めた頃には、約100万ドル。そして購入を現実的に考える段階になったときには、約150万ドルになっていました。

同じ条件の家です。広さも、エリアも、学校の環境も、私が探していた条件は変えていません。それでも価格だけが上がっていきました。

私が貯めている間に、必要な頭金そのものが約10万ドル増えていました。

私は止まっていたわけではありません。むしろ、かなりのペースで貯めていました。それでも、ゴール側も動いていた。目標の額に届いた時、ゴールはもう先に動いていました。

住宅市場。インフレ。金利。経済環境。どれも、私の努力ではどうにもならないものです。それが、ゴールの位置を勝手に動かしていました。

最初は「あと少し頑張れば届く」と思っていました。でも、だんだん分かってきました。この構造では、頑張って届いても、ゴールが先に動いてしまうことがある。

持ち家の話になると、私は何も言えなかった

この時期、いちばんこたえたのは数字ではありませんでした。

職場や、子どもの習い事の待ち時間の親同士の雑談で、住宅の話は思っている以上によく出ます。

最近の住宅価格見た?

うちの家、今こんな価格になってるよ。

買った時は○○だったのに、すごいよね。

私は「へぇ〜すごいね」と返していました。

本当は、うちはまだ賃貸ですと言えませんでした。恥ずかしかったからです。

誰かに何か言われたわけではありません。馬鹿にされたこともありません。それでも、自分の中に劣等感がありました。

周りは家を持っている。しかも、その家の価値が上がっている。私は何年も貯金を増やしてきたのに、まだ家を持っていない。むしろ、遠ざかっている。

あの時買っていれば。数年前に決めていれば。そんなことを何度も考えました。

でも、過去には戻れません。

問いが変わった

それまで、私が自分に聞いていた問いはひとつでした。

どうすれば、もっと早く貯められるか。

支出を削る。収入を増やす。貯める額を上げる。全部、自分が動く方向の答えです。

でも、ゴールが動き続けるなら、この問いには限界があります。自分が走る速さを上げても、ゴールも先へ進んでいくなら、いつまで走ればいいのか分かりません。

そこで、問いが変わりました。

ただ貯め続けるだけで、
本当にいいのだろうか。

このお金は、何のために、どこに置かれているのか。この置き場所は、私が今いる状況に対して、本当に正しいのか。

初めて、「もっと貯める」以外の答えを探し始めました。

その先に何を並べて、最終的に何を選んだのかは、また別の記録になります。ここではまだ、問いが変わったところまでです。

ここに出した価格は、私が実際に見ていた住宅の価格帯です。エリアによって、住宅価格や価格の上昇率は大きく異なります。

また、これは「賃貸か持ち家か」の話でも、「今は買うべきではない」という話でもありません。私の場合はこうだった、という記録です。

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